
Ab-07
かわやなぎ
川楊
加波也奈岐
柳
カワヤナギ
ネコヤナギ
【万葉集記事】
07-1293 |
09-1723 |
10-1848 |
10-1849 |
の4首 |
(一) |
旋頭歌 |
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丸雪降 |
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霰降り |
注釈
霰降り=おとがトホトホと鳴ることから、トホツに懸かる枕詞。
吾跡川楊=阿渡川に生える柳。
(二) |
雑歌 |
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河蝦鳴 |
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蛙鳴く |
注釈
河蝦=かじか(清流にすみ、よい声で鳴く蛙、)
六田の川=奈良県吉野郡六田のあたりを流れる吉野川の一支流
(三) |
柳を詠む |
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山際之 |
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山の際の |
注釈
水飯合=飯は激の誤字であろうといわれている。水激合:みなぎらう。
川之副者=副は柳の誤字とみる。別説に「かはしそへば」とそのまま読むと解する。
【概説】
万葉集に詠われているヤナギは、概ね次の三つの形のものがある。
(1)
柳の字で書かれたヤナギ;シダレヤナギorアオヤギが該当し、春の新緑が美しく読まれている。
(【Ab-06】)
(2)
楊の字があてられるカワヤナギ;河辺に茂る柳の類で、文学面では早春に芽が猫の尻尾のように伸びるネコヤナギが代表である。(【Ab-07】)
(3)
白楊と書いてある種で、葉の裏が白く見える。日本ではその一種にヤマナラシがあり、比較的乾いた山野に生え、風が吹くと一斉に白い葉裏が光って見える。
(【Ab-08】)
「この項の題のカワヤナギというのは、川の辺りに繁茂する柳楊を文学的に捉えたもで、ある特定種のヤナギを言っているのではない。従って本項でカワヤナギ
Salix
gracillistra を指定して取り上げたけれども、集の詠むカワヤギはこの限定でない。なお、Ab-06
で採り上げたシダレヤナギに対抗するというべき、ネコヤナギは民俗芸術として重要であるので、本項でとりあげることにした。」
植物の分類学によれば、ヤナギ科は、ポプラの類
Populoideae とヤナギの類
Salicodeae とに大別される
(ケショウヤナギChoseniaを別格とする説もある)
が、この科の植物は雌雄異株であって、雄/雌の形が違っているものがあったりすること、自然界で雑種が見られること、名前が別名を複数もつものがあったりして、分別が輻輳して判りにくい。従って集に出題されているヤナギの種を的確に指摘することは難しいけれども、大凡、漢字で楊はヤマナラシ亜科、柳はヤナギ亜科に宛てて可であろう。俗に、葉の幅が広いヤナギと、葉幅が狭いヤナギと分けるのも判りやすい。
ポプラの類; |
(中国) |
ヤナギの類; |
(中国)
学名の |
<本草> |
時珍曰く、楊は枝硬くして陽起す。故に楊といひ、柳は枝弱くして垂流す、故に柳といふ。蓋し、一類二種なり。云々。春初め柔薀を生し、即ち黄蕊花を開く。春晩に到りて葉成長の後、花中に黒細子を結ぶ。蕊出て絮出、白絨の如し、風に因りて飛ぶ。子、衣物に付けばよく虫を生ず。池沼に入りて即ち化して浮苹うきくさとなる。云々。 |
<大言海> |
柳の一種。早春に葉に先立って花を開く。その蕾柔滑にして絹糸状の白毛を密生す。故にこの名あり。カワヤギ |
ヤナギ科Salicaceaeの植物は、特例は別であるが、一般に水の多い川邊や高山に分布する。低木~高木で雌雄異株で、春の芽だし頃から新緑の樹容が美しく詩情があり、文学観賞の対象になる。秋には黄色にモミジする。花は、苞はあるが花被は欠け(虫媒花また風媒花)、雄花は集って雄蕊が糸屑(古語で絮という)のようになり、集って猫の尻尾状(古語で葇荑)となる。早春花序が急速に開花するが、南面の陽光を受ける側が膨らむのでコンマ状になり、苞が剥がれると銀色に輝いた花穂(ネコ)が絹の光沢を見せて大層美しい。中国の古文で柳絮が水面に落ちて漂い萍(ウキクサ)になるとか、霜雪に舞い上がるとか書いてある。満州のような寒くて地表が乾いている場合、柳絮が地に落ちてすぐに氷化し、舞い上がる現象が見られる。
楊柳の付名は複雑で判り難いのであるが、一例をいうと、カワヤナギとはそのように呼称する学術上の単種名があると別に、俗に水辺に生える柳を総じて云うのであって、水楊とも称呼し、植物学でいうと十数種のヤナギを包含するものである。すなわち、猫柳、河楊、水楊は背景に応じて異称されているのであって、結局は同じ種である。
<和漢朗詠集 |
東岸西岸之柳 |
<和漢朗詠集 |
青柳の枝にかかれる春雨は糸もてぬける玉かとぞ見る。 |
<和漢朗詠集 |
林鶯何処吟琴柱 |
<和漢朗詠集 |
青柳の糸よりかくる春しも乱れて花はほころびにける |
<和漢朗詠集 |
春くればしゅだり柳ノママ糸の妹が心になりけるかな |
<重修本草綱目啓蒙 |
水楊 カワヤナギ、エノコロヤナギ、コロコロヤナギ、サルヤナギ、ケコヤナギ、フデヤナギ、ミドリヤナギ、ユヤナギ、トウトウヤナギ、カワネコ、一名水柳、花一名花萍、飛雪、狂客、水辺に多く生ず。高さ二三尺或いは五六尺、葉は桃葉の如して厚く、面深緑色、背は白く、互生す。冬に到りて落つ。春未だ葉の出ざる先に花穂を発す。形筆頭の如く、長さ一寸ばかり、絮多くして狥尾草エノコログサ穂の如し。白色にして光あり、故にエノコロヤナギの名あり。花穂をネコダマ、コブシ、ネコノコと云。後実熟してその絮風に随ひ飛び、白茅ツバナの如し、この絮を採り、硯下に観すれば冬凍らず。これを文房春風膏硯と名くと物類相感志に見えたり。 |
<本草和名 |
水楊葉 |
<本草一家言 |
水楊 |
<倭名類聚抄 |
水楊 |
<箋注倭名類聚抄 |
千金翼方、証類本草下品載二水揚葉一、古今注、水揚蒲楊也、枝勁細、任二矢用一証類本草今注云、水楊葉円闊而赤、枝条短硬、多生二水岸傍一、樹与二楊柳一相似、既生二水岸一故水柳一也 |
<箋注書言字考節用集 |
檉カワヤナギ |
<和漢三才図会> |
水楊葉丸く広く尖り枝条短梗、勁靭にして箭笴とすべし、二種あり、一種は皮正に青く、一種は皮正に白し矢となすべし。 |
<本草図鑑> |
水辺道端に栽ふ培また藩籍となす、七八尺に至る。葉は桃の葉に似て小さく周りに細き鋸歯あり、面青色 |
<群芳譜> |
水楊をかはやなぎとよめり、丸葉楊ともえのころやなぎともいう。 |
<大和本草> |
水楊、カハヤナギは円葉にて尖れり。枝短くこわし、水変に多く生ず。又蒲柳とも名ずく。この木性柔なり。 |
<大和本草批正> |
水楊は円葉なり〈白井理学博士はこれに注して誤なり水楊は長しと云ふ |
<本草啓蒙> |
水楊、川楊、水辺に多く生ず、高さ二三尺、或は五六尺、葉は桃葉の如くにして厚く、而深緑色、背は白し、互生す、形筆頭の如く、長さ一寸許、絮は狗尾草穂の如市、白色にして光あり、故にエノコロヤナギの名あり、花穂をネコダマ(越前)コブシ(同上)ネコノコ(若州)と云、後実熟してその絮,風に随ひ散飛ひ、茅絮の如し、この絮を取り、硯下に襯すれば冬凍らず、之を文房春風硯と名くと物類相感志に見えたり。 |
<剪花翁伝前編> |
播州ねこやなぎは絮莟既に成は七月下旬なり、簨平に薄く海布の茎の如し、俗に之をひらじくといふ、葉の間至って詰まれり、ゆえに花繁し、常の猫柳は繁蜜ならず、方位、日向、地は一分の湿、之にて平茎多く蔓るなり、土性肥料は随意にすべし、遷は春彼岸よし。 江州ねこやなぎは絮莟既に成は十月中旬なり,茰平に薄く海布の茎の如きも亦花葉の繁蜜なれども晩秋ねこやなぎにかわらざれど江州はすべて大形なり、方位、日向、地は一方の湿、是にて平茎多く蔓るなり。白井理学博士は、本草啓蒙にいうカワラナギは今日理科大学票品にてオノヘヤナギ、ネコヤナギ、オオサルコヤナギ等と呼ぶ諸種に相当するが如し、標品にてカワヤナギと呼ぶの古名何と呼びしや知り難し、オオサルコ本草図譜に図あり}という。 |
ネコヤナギというのは、学術的にその名ずばりのヤナギもあるが、早春に、尾状花序の花芽が膨らんで出芽する状態を、丸くまった猫に譬えて言ったもので、俗名はこの一種に限ったことになく、このような芽だしの柳を総じてその様に云う。カワヤナギSalix
gilgiana の別名をネコヤナギと俗称することもあるが、ネコヤナギSalix
gracilistyla
とレッキとした名をもつ単独種である。この種は切花用のクロヤナギ、ミヤコヤナギ、キヌヤナギ、などには変種/雑種の栽培もある。ヤナギの品種名は似たものが多い上に地方名もあるし、しかも別科の植物にも××ヤナギという借用した名前もあったりして益々複雑となっている。獣の名を借用したものにイヌヤナギ・キツネヤナギというのもあるし、バッコヤナギ(ヤマネコヤナギ)は東北地方で牛のことをベッコと呼び、花芽が牛の角のように曲がっていることによる。
Salixの花芽はふつう立ち上がり、Populusにあっては垂れ下がる(風媒花は下がり、虫媒花は立ち上がる)。尻尾状の花序を持つのは、ヤマモモ科・クルミ科・カバノキ科・ブナ科・など、これらは近縁的であり、植物の進化上興味のあるところである。
ヤナギは雌雄別株であり、しかも雌雄別態であることを前述したが、雌株が未発見のものがあることは非常な驚きである。(a)フリソデヤナギの雌株は1981年に栃木県の川村文吾氏によって発見された。(b)クロヤナギ・キヌヤナギの雌株はまだ発見されていない。
やなぎの木は腐りやすく、大木となって残っているのは珍しい。山口県阿武郡弥富のアカメヤナギは周囲3,7mに達する。京都三十三間の梁はヤナギの一本物と伝承されるが、本当か疑わしい。
【植物】
① ネコヤナギ Salix
gracilistyla Miq.
別名
タニガワヤナギ、オオバカハヤナギ、ヤマヤナギ、エノコロヤナギ、コロコロヤナギ、サルコヤナギ、コブヤナギ、フデヤナギ、ユヤナギ、トウツオヤナギ、ミドリヤナギ、カワネオ、イヌッコ、ベゴッコ、チンコヤナギ、イッココノキ、インコロ
北海道~九州、朝鮮、中国、ウスリーに分布。各地の水辺の山野に生える普通種で、樹高0.5~3m
になる落葉性低木。枝は下部からよく分岐して斜上する。若枝には毛が密生するがやがて落ちて緑褐色になる。冬芽は灰白色の毛が密生し、赤褐色の1片の帽子状鱗片が覆う。3~4月葉が出る前に長楕円形の尾状花序をつける。雄花序は長さ3~6cm。雄蕊は2個、合着し、約は紅色でやがて黒変、花粉は黄色。雌花序は長さ2,5~4.5cm,花柱は長く、子房は白毛が密生する。雌花序は花が終わってから9cm位にまで伸びて一方に傾く。蒴果は熟すと2裂し、白毛で覆われた種子を出す。
桃の花の節句のころ、陽光のぬくもりをうけ、花芽が綻び、もっくりとした形とビロード色に輝く銀色が美しく、切花の花材にされている。
変種 |
ネコシダレ |
var.pendula |
|
クロラナギ |
var.melanostachys |
|
チョウセンネコヤナギ |
var. |
② カワヤナギ Salix
Gilgiana Seem (S.gymnolepis Lev. et Vent.)
別名.ナガバノハカワヤナギ、カハラヤナギ、マルハノヤナギ、コメヤナギ、サルヤナギカワネコ、花はカワボボ、カワラババ
川楊・河柳・水楊・白楊・蒲楊・青楊・水葉楊・栘柳
落葉潅木ないし小高木、高さ6m,枝は幼時に短い絹毛があるが長じて脱落する。葉は披針 からは利形、下面粉白色、細鋸歯あり、両尖、長さ5~12cm巾5~10mm.花は4月、花穂は少し黒く見える。
る露非しんけいうぐし無毛葉またと近似するが、葉はやや大型である。雄花の雄蕊は2本あるが、両方とも合着し、②は1本にみえる。
◎ オオネコヤナギ Salix
future Seemenn.
別名 オオキツネヤナギ・キンメヤナギ
山形~滋賀県の日本海側に分布する。裸材は隆起賎が著しい。葉は長楕円形で大きめ。冬芽が大きく黄褐色であるので、キンメと呼ばれる。
注)
1.
ネコヤナギは他のハヤナギ類との間に多くの雑種を作っている。カワヤナギもその一つとの見方もある。クロヤナギvar.Melanostachys
C.K.Schm
は花序が黒色で生花に用いられる。ネコヤナギに全く似たものにナガバノネコヤナギSalix.Arakiana
Koidz
がある。この葉の下面は全体に毛がある。ヤナギ類の分類は思わぬ細かいところに及ぶので、ルーペ^が必携の道具である。
2.
始め、葉の両面に絹糸状の毛が生えているか、後に裏面にだけ灰色の毛が残る。葉の着き方は5/13である。
秋には葉柄が膨らんで、翌春の花序を守る。本種には頂芽はできない。一般に南方系の樹木は日本に渡来すると頂芽を欠くものであるが、本種は北方系であるに関わらず頂芽をつけない。
3.
雌雄異株で、雄花の花穂は長く3~5cm
径1~1.5cm,雌花の花穂は2.5~4cm,径0,8~1,4cm,小苞の下に蜜線がある。雄花の雄蕊は1本で、葯は2個である。即ち、風媒花であると同時に虫媒花でもある。
【周辺】
ヤナギ科Salicaceaeは世界に約5属400種あり、主に北半球の温帯に分布する。内ヤナギ属
Salix
は最も大きい属で日本だけで90種もある上、雑種が非常に多い。この科の特徴は雌雄別株で花は尾状花序に付き花被がなく風媒花と虫媒花との混用である。種には胚乳が無く、基部に綿毛が付いていて、風に乗って飛び散る。樹木は生長が早く木材の強度は低く構造材・建築材に期待出来ないが、マッチの軸材に応用される。
代表種
ポプラ亜科 |
ハコヤナギ属 |
|
ヤマナラシ、ドロヤナギ、エゾヤマアラシ(ポプラ) |
ヤナギ亜科 |
ケショウヤンナギ属 |
|
ケショウヤナギ |
オオバヤナギ属 |
|
オオバヤナギ |
|
ヤナギ属 |
マルバヤナギ亜属 |
マルバヤナギ |
|
真正ヤナギ亜属 |
ジャヤナギ、シダレナギ、ヤヤタチヤナギ、ヨシノヤナギ、シロヤナギ、コゴメヤナギ、タチヤナギ、オノエヤナギ、ヤマネコヤナ、ギ、ユビソヤナギ、エゾヤナギ、マネヤナギ、コリヤナギ、ミヤマヤチヤナギ、イヌコリヤナギ、キツネヤナギ、ネコヤナギ、ノヤナギ、カワヤナギ、エゾカワヤンアギ、シバヤナギ、ヤマヤナギ、シリヤナギ、コマイワヤナギ、ミヤマヤナギ、タライカヤナギ |
【名前】
やなぎ(古語)
也那岐,夜奈岐、楊奈疑、楊疑ヤギ
(別名)
河根草, 河高草、河沿草、風見草、風無草、一葉草、秋知草、春薄、遊草、根水草、楊樹、楊柳
(漢語)
柳、楊、楊華、蒲楊、楊絮、楽沙、高飛、楊樹、独樹、独揺、緑郷、漏春和尚、闌車孫、梔烟糸、義孫,天刺
かわやなぎ (古語)
由也奈木ユヤナギ
(別名)猫柳、水楊,狗楊エノコロヤナギ、犬子楊,猿柳、熊柳、庭柳、川副柳カワゾイヤナギ、
河原楊カワラヤナギ、黒葉柳、水柳、こんころやなぎ、ふでやなぎ、ゆややなぎ、かわねこ、みどりやなぎ
(漢語)
水楊/水柳、河柳、飛雪、狂客、狗柳、蒲柳、移柳、
【古典】
<日本書紀 |
稲蓆 |
|
<古今和歌集 |
みよし野の |
|
262> |
道野辺に |
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1253> |
浅みどり |
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1675> |
山賎の |
|
<枕草子 |
桃の花いまさきはじける。柳などをかしきこそさらなれ |
|
89> |
薄様の草子、柳の萌え出たるに、あをき薄様に書きたる丈ずけたる |
|
220> |
柳に挿頭の山吹わりなく見ゆれど、泥障いと高う打ち鳴らして、 |
|
301> |
さかしらに |
|
<源氏物語 |
色をましたる柳、枝を垂れたる。花も、えも言ぬ匂いを散らし |
|
椎本> |
いろいろ見わたさるるに川添柳の、おきふし靡く水影など、おろかならず |
|
横笛> |
白くそびやかに、 |
|
桐壺> |
太枝の芙蓉・未央びようの柳も、げにかよひたりしかたちを |
|
<土佐日記 |
この寺の岸ほとりに、柳おほくあり、ある人この柳のかげの… |
|
<蜻蛉日記 |
かずかずに君かたよりて引くなれば |
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下275> |
わが宿の柳の糸は細くともくるうぐひすは絶えずもあらなむ |
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<徒然草 |
柳筥に据うる物は、縦様・横様、物によるべきにや |
|
46> |
柳原の辺に強盗法印と号する僧ありける。度々強盗にあひたるゆゑに、 |
|
<梁塵秘抄 |
春の初の歌枕 |
|
<御伽物語 |
猿沢の池の柳や我妹子が寝乱れ髪の形見なるらむ |
|
浦島太郎> |
梅や桜の咲き乱れ、柳の糸も春風に、靡く霧の中よりも、鶯の音も軒近く |
|
<拾遺和歌集>雑下551 |
かうぶり楊をみて、 河柳いとは緑にあるものをいずれかあけの衣なるらん |
藤原仲文 |
<新古今和歌集 |
うらなびき |
太宰大弐高遠 |
262> |
道の辺に |
西行 |
1253> |
青柳の糸はかたがたなびくとも |
後朱雀院 |
1448> |
道野辺に |
菅原道真 |
<夫木和歌集> |
春の池の |
二条院讃岐 |
|
けさみれば |
藤原為家 |
|
浅緑 |
藤原俊成 |
|
青丹よし |
藤原定家 |
|
瀬をはやみ |
藤原光俊 |
<新選字鏡> |
檉楊類 |
|
<重訂本草綱目啓蒙> |
喬木 |
|
<本草和名> |
水楊葉 |
|
<謡曲本 |
寒き嵐に散る柳の一葉水に浮かせしに |
|
実盛> |
気霏にして風新柳の鬘を削り、水に消えては |
|
船弁慶> |
松には靡き青柳の杖を遅の御契りを |
|
金札> |
船を作るs楊柳 |
|
自然居士> |
折節秋の来るとて |
|
清経> |
豊前の国柳ご浦の沖にて |
|
百万> |
西の大寺の柳陰 |
|
<北原白秋 |
春を待つ間 |
<俳句> |
鶯のなくやうとのの川柳 |
蕪村 |
|
陰高し大川柳峰の松 |
宗祇 |
|
橋柱枝さしそふや川やなぎ |
紹巴 |
|
水底はまだんつめたきか川柳 |
大柳 |
|
あたたかに |
久女 |
|
行く水の |
林火 |
|
船の影 |
春一 |
|
猫柳は |
虚子 |
|
猫柳 |
北湖 |
|
一つ一つのぞけり |
麦白 |
|
八九間 |
芭蕉 |
|
柳散り |
蕪村 |
|
けろりくわんとして鳥と柳哉 |
一茶 |
|
ガス灯に |
子規 |
|
陽ぬるみ |
真貫 |
|
猫柳 |
山口聖子 |
|
時々は水にかちけり川やなぎ |
意元 |
|
まねくやと跡になつみの川柳 |
園女 |
【用途】
用材 |
器具・箱などの機材、楊枝ヨウジ・マッチの軸、パルプ・研磨用木炭・ナメコの榾木 |
蕾芽 |
生花の花材 |
花 |
食用や飲茶 |
枝 |
皮を剥いで行李を編む。柳筥 楊梱 |
薬用 |
民間薬
化粧品・食品に多用されているパラベン |
ヤナギ と ギリシャ神話
ゼウス王は宴会の席で、持っていた銀のスプーンを無くしたので、ガニュメデスを使者に遣わし、まずオークのところへ聞きにやりました。オークは『私は木の王であって、泥棒でない』ど怒って云いおい帰しました。次は、カバノキの所へ行きました。カバノキは銀色の葉をみせて「私はこんなに沢山のスプーンをもっている。なぜこれ以上を望む必要があろうか」といって、取り合い ませんでした。最後にポプラの所へ行きました。ポプラは同じように腕を挙げてスプーンの無いことを見せました。しかし、その時風が吹いてきて、カタカタと音を立ててスプーンが落ちました。びっくりして、ポプラは腕を下ろそうとしましたが、ゼウスの一喝で、そのままの形にの固められてしまいました。そのため、いまでもポプラは腕(枝)を上に挙げた侭の形になり、風が吹くと銀色の葉をカタカタと鳴らせるのです。
太陽神アポロは沢山の妖精と親しくしていましたが、妖精の一人クリュメネどの間にバエトンが生まれました。ある日バエトンはアポロンの馬車を引き出して御者になり、二輪車に乗り込みました。その馬車は車輪も心棒も柱や覆いも全部黄金で出来ていて、馬もキラキラと輝いていました。ところが馬は気が荒く到底ばバエトンの手に負えるものでありませんでした。馬車は上へ跳ね上がって大熊座や小熊座を焼け尽くし、今度は下に落ちそうになって、ペスピオ火山が噴火したほどです。人間も焼け死んだのてすが、たまたま川原の水辺にいたエチオピア人だけが助かりました。しかし皮膚が焼けてそれからエチオピア人は真っ黒になったのです。ゼウスはこれをみて『大変だ』と右手に持った電光の弾丸を御者に向かって投げ付けました。弾丸は馬車に当たってバエトンと共に長い炎を引いて流星となってエリダノス河に落ちました。バエドンの姉妹は彼の運命を嘆き悲しみ、死骸の横で4月も泣き伏して、とうとう河の辺でポプラの姿に変わってしまったとのことです。
この項の文献 「柳の文化誌」柳下貞一著 平成7年 淡交社