Ab-09. つまま

Ab-09. つまま

都万麻 ツママ

タブノキ 椨 クスノキ科

別名; イヌグス・タマグス・アオダモ etc,

漢名;椨[小楠・紅楠]

万葉集記事 

19-4159 の一首

19-4159

季春三月九日 出挙すいこの政せむとして舊江村ふるえむらに行く。道の上に目を物花に属くる詠、并せて興の中に作れる歌 渋渓の崎を過ぎて巌の上の樹を見る歌一首


磯上乃 都萬麻乎見者 根乎延而 年深有之 神左備尓家里

樹名 都萬麻


磯の上の つままを見れば 根を這えて 年深からし 神さびにけり

つままは樹の名なり

注釈

渋渓崎=地名 富山県高岡市伏木国分にある岬

根を延えて=根を長く伸ばして、神さびて神々しくみえること 

渋渓;現在の高岡市大田に渋谷村があって、そこを指すとの主張もあるが、同村は明治初期に開墾されて出来た集村であるから非該である。地形にみられるように、二上山北側から富山湾に傾斜する山麓に3筋の川が流れており、いずれの渓谷が渋谷であるか決め手がないとしても、渋谷崎は加古川と紅葉谷の間に突出した岩崎鼻のことと思料される。この地帯は土質が軟弱で海波で浸蝕されつつあり、万葉時代にはあっては現在より100m以上も先端が突出していたと推定される。

概説】

この項で詠うつままとは何物なるか?わざわざ「樹の名なり」と断っているから植物の名であるに間違ないのであるが、ではいかなる樹なりや?古来多くの説が出されているが、この様な名前の植物は辞引きにもないし、不詳植物の一つとされている。実は、集以降の古典歌に、つままを題とする和歌が僅かではあることは有る。が、それらの歌は万葉の歌以降の倣作であり、現代の常識では著作権云々となるかもしれないが、昔の歌人は以前の歌を踏襲することが普通であって、却ってその方が崇敬の念を示すと考えたのである。

<夫木抄(29)妻摩>

かみさぶる 磯のつままの根も生えて 深くや人をしたに忍ばん

藤原家良


神さぶる 磯のつままの根を生えて 若しとはねば いけりともなし

葉室光俊


世とともに 浪のゆふこそ かけつらの 神さびわたる いそのつままに

藤原為家

<新六帖(6)>

磯の上は 心してゆけ 真沙ぢや 根はふつままに 駒ぞつまずく

信実


世と共に 波のゆふこそ かけつらめ 神さびたてる 磯のつままに

藤原為家

<現六帖 >

たづのいる 磯辺のつまま 世々かけて いづれかひさに年の経るらん

兼氏

つまり、「つまま」のことを総合して詮索するならば、“神さぶる”から神々しく年を経ていることの背義があり、そして妻に関係あるとも勘ぐられる。而して、歌詞から都万麻の正体を探る特徴は、

ヒント

1.樹の名前である。

2.磯(海岸)に生えている。

3.根が長く伸びている。

4.長寿で大木になる、

5, 古くなると神々しい大木になる。

このクイズの解は、結論からいうと、現在の学会で、タブノキ(一名イヌグス、能登・越中地方の方言でダモ・ダボ)であるとしている。

タブ以外であるとの論議は、犬黄楊イヌツゲ説、磯ムマベ説、浜ヒサギ説、玉桃タマモモの転であるとの説、椿ツバキの音読の転であるとの説、或いは相生の松(妻待つ)の意味であるとの説、等々提議されている。

<大言海>

つまま たぼのき たぶのき(イヌグス・ヤマグス)磯に生える木なるべし、

<古語大辞典> 

つまま 不詳 クスノキ科の椨の異名か。本州・四国・九州の海岸地方に自生する。磯ムマベとする説、犬黄楊とせる説、相生の松。

<日本国語大辞典>

たぶの木のことか、青樫、蔦漆、犬黄楊とする説もあり。

タブノキは南方系の樹であるが、この歌の詠まれた降雪地の北陸に生育不可と唱える人もいるけれども、同地方の海岸は暖流の影響かにも南方系生物が住むなど案外暖かいのである。それに和倉温泉など温泉脈が海岸線に沿って走っており、能登半島に「高爪神社のタブ・推定樹齢数百年」「日枝神社のタブ・樹齢不明」「鹿島路のタブ・推定樹齢650年」「鎌宮のタブ・樹齢不明」「七尾唐島のタブ」「小境のタブ」「早坂のタブ・樹齢不明」など保存状態はよくないとしても、古老巨木が集中して生えている。ただ、同地方〔氷見雨晴海岸〕は開拓事業や、海波の侵食で地形が一変しており、現在は、歌われた推定場所につままの老木はないが、数十年前まではクロマツの大木数十株が残存していたなどのことから、樹林に鬱蒼と覆われていたことは想像に難く無い。      

日本海側でタブの北限は青森県岩崎村、太平洋側で岩手県山田村の船越大島とされている。日本での照葉樹林は九州青島に天然記念物の樹林が保存されている如く、海岸沿いに発達するもので、その断片としては紀伊・四国にみることができる。ダブはカシ・シイ・クスなどと共に、その樹林を混成する樹木の一つであり殊に珍しいものでない。こんもりとした樹形で、寿命が長いので独立して残っている例、例えば,芝恩賜公園・浜離宮に見ることが出来、また千葉県の船橋市・松戸市など海岸都市にタブの大木が、海から数Kmも離れた所に単独で残っている。

ところが、タブには別名・方言が多く、イヌグス、ダモノキ、アオグス、ヤマグスなど、方言のダモはヤブニッケイなど別の樹木にも及んでいる。山陰から北陸にかけて、クスノキ科のシロダモ、ホソバタブ、モクセイ科のヤナダモなどタモ・ダモ・ダマ・タボに係る語の木が多いが、ともに 霊 に関係がある語である。方言でハルニレ(青森・秋田)、オヒョウ(秋田・岩手・宮城・福島・山梨)、アキニレ(青森)、トネリコ(秋田・岩手)、ヤブニッケイ(越前・摂津・丹波)をタモ・ダモと言う地域がある。タモノキの(ta→tu)(mo→ma)の音韻変化により(ツママ)に成ったとの解説である。

<国史昆虫草木攷 曾 占春>

ツママ 此の樹いまだ不考、強いて云えば、夫妻互いに称ふる詞なれば、雌雄にもわたるべし。マはマツの約りにて松ならんか、さらばメマツ・オマツの巌の上に生えて年ふりたるをその俗の俚言に、もし夫婦松といへるを、そのままに詠みたるにや、いかが、さて記の歌にもひとつ松あはれとよみたり。

<古名録 野田伴存(1890)>

今按、海嶽磯上に根延と云を以て考ふれば都万麻は磯ムマベ(ハマヒサギ)なるべし一名イソチヂミ、奥州ウソリ山、紀州海士群深山村夷崎 日友島 四国 九州 海岩の上に多く叢生す、形状はヒサカキに同じく、葉小にしてムマメのごとし、葉繁くつく、冬不凋、花も相似たり。

<万葉古今動植物正名 山本章夫>

つまま諸説あれど、形状わからねば確説の立つべきもなし。今越中国府射水郡渋谷村の岩崎といふところにつままの木なりとて小木を栽え記念碑を建たり。何の年何人のなせるか明らかならず。その葉カラダモに似たり。ダモと名着くるもの品種多し、クロダモは則ヤブニッケイにし葉に三縦道ありて、子()色赤し、亦単にダモと云ひ、カラダモと云ふあり、この葉をみるにダモなるものに近し、葉背やや白く縦理左右に配列せり、是果たして古のツママなるにや。

<動植物古名考 白井光太郎>

(大正4年3月、こころの花 vol.19 3) 

都萬麻に似る植物名に都末女ツマメが有、本草和名 陶景注云 是蛇含 蘇敬注云 是含字誤也 宜改為含 一名女青 和名都末女とあり、此都末女は草にて今いふをヘビイチゴなれば樹の都万麻と別なること明けし、しかし小野嵐山翁の“木略”といふ書に、ツマメ(美濃方言クワイチゴ)とあり、この説によれば美濃にてはクワイチゴにもツマメいふ方言ありや。・・しかしクワイチゴは落葉樹にて、神さぶる等いわるべきにあらざれば、この點大いに歌意に反せり。とにかく一説とし挙げ置く価値有と信ず。尚一説あり、都万麻といふ名は本邦の古言にては到底解釈しかねるもののやうなれば蝦夷語などの中にこれに似たものあらんか。読書を探りしに<東蝦夷物産誌>といふ書に「トママシ ライノボリに産す、此 鏧子木也」といふ条あり、鏧子木は此てイヌツゲといふ木にてイヌモチビンカ、カラシケズリなどの方言あるものにて、その樹は葉深緑にして細く、冬凋なず、枝葉密にして其年経たるものは得も言われぬ趣あるものにして、実に神さぶるとも称へつべし・・・

古事の調査に、方言は有力な瑣事を与えるものである。万葉植物学者の松田修先生は昭和3738年に富山県伏木氷見方面を調査され、<万葉植物新考>にその要旨を述記されているが、ダモに関する方言でアオダラを得、これが語学的にツマに音通すると述べている。

) 山本章夫先生の著の「記念碑・・何人のなせるか・・」について、

この記念碑は、越中国射水郡大田村の肝煎 大島宋九郎が安政5(1858)に建立したものである。この時代、片田舎に万葉集を熱愛する学士がいたとは驚きであるが、安政5年というと勤皇の志士が弾圧された大獄のあった年で、この土地にも国粋の気風が押し寄せていたのではないか。この碑について、鴻巣盛宏氏の「北陸万葉集古跡研究」にも記述あるが、一時行方不明になっていたので、昭和45年に伏木ライオンズクラブガ雨晴駅に新しく石碑を代建したところ、忽然として由緒ある旧碑が戻って置いてあったというのである。

この石碑は高さ1m 40cmの角柱で、頭に平たい自然石の帽子が載っている。すでに刻文は読みにくいまでに磨耗著しくなっており、現在は国道451号の道沿いに静置してあるが、植樹された若いタブの枝葉が覆いかぶさっていて、傍を走る車も気を止める者はいない。

2) 同地方の方言について、

この地方の方言は伏木・氷見・能登の一帯が共通する様である。アボ、タボ、ダラは薄馬鹿の罵詞であり、これ付注がタブノキに音連するとの理由は判らないが、例えば動作の鈍い鯊をダボハゼと、熟れてべっとりとした柿をタボガキいうが如くである。また、とは嫣の意の接語と思われ、近親者を愛称でアンマ(兄様)ネエーマ(姉様)の如くマをつけてれ呼ぶ。ただし妻のことをツママとは言ず、ジャーマというのである。ジャーマの語源?:結婚して年月を経、妻の地位が固まるにつれ、何かとうるさくなり御主人にとって邪魔な存在になるからであろう

{以下は著者の創作である}  

家持は出挙(納税の割付や徴収のために地方を廻ること)の際、地方の名主の家で宿泊することになるが、そこの饗応の席で、名主は妻はじめ家人を紹介したことであろう。

名主「これは之は、ご遠路ご大儀にございます。私めがこの地の主で、こちらが手前のジャーマでござりまする」

家持「エーッ、ジャーマとは何のことでござるか?」

名主「アヤ 失礼申しました、それは妻、つまりこちらの方言で、ツママのことを左様いうのでござる」家持「ホ・ホー、中々の才媛でいらっしゃいますナ」

名主「とんでもござらぬ。全くタボジャーマで」

家持「ハハッ、タボマとは面白いですナ」

と、挨拶を交わして、酒宴となり、家持はジャーマ殿の酌を受けたりする。翌日家持はジャーマとダボマとツママとを反芻しながら帰途、渋渓に至り、磯に立つ巨木に出会う。

家持「この木は何と申す?」

道案内「タボノキと申しまする」

家持「オウ、タブはツママの事であったな」

そこで、家持は、詠ニ都万麻之謌。これを自宅に持ち帰り、歌を紙にしたためた。ところが、その書を見た彼の妻坂上大嬢は、途端に角を出してヒスを起こしたのである。それは、根を張り、年を経て、神さぶれた、都万麻とは、自分のことを言ってのかも?と勘違いしたらしい。家持はこの誤解を解くために、早速 樹名都万麻 と注書したという次第。お粗末の一席。

<日本植物方言集成(八坂書店2001)>によれば、タブノキの方言は四十数語に及び、石川県 能登地方にツママノキと呼ぶ所があるそうである。 沖縄与那国島でツムヌーといっている

ことにも注目したい・タブの方言ツママをタブノキとする説で、また、タブといっても多少混同して別種を類似語で左様にいっている例がある。それで、ダモの方から調査してみると、これまた多岐雑合していて、まず、ダモの名のつく樹木に3の系統があること。その第一はクスノキ科の系統でシロダモあり、クロダモというのはヤブニッケイの別名で、タブノキもタモノキの語変化であるという説に頷ける。野球のバットには通称アオダモ画採用される。グル-プ第二はモクセイ科の樹木で、アオダモ[コバノトネリコ]、ヤチダモ[アカダモ]がある。トネリコにもシラダモ・ミズダモの方言がついている。ダモの方言を有する第三の群には、ニレ科のハルニレ、アキニレ、それにユキノシタ科のノリウツギがある。これらの樹木の多くは大喬木となるので、闊葉樹でありながら、樹魂の籠もる霊木として崇められる。トネリコの仲間は木の材質が極めて粘りがあって、曲げに強く矯めても折れないので“撓む木”すなわちタモノキと転化したのであろうと<植物和名語源親考 深津正1976>。 これらの方言は20世紀になってから各地で調査が始められ、因果関係の説明づけになった。ところが植物古典書の<本草和名918年ごろ 秦皮,一名岑皮,和名 止弥利古乃岐、一名多牟岐タムキ>とあり、相当以前からタムキとよばれていた証拠があり、これからツママを珠桃タマモモの転とし、ヤマモモが該当するとの主張がある。

タブを漢字辞書で引くと、椨 が出るが、樟もタブと訓む例がある。蛇足ながらクスには樟と楠とがあり、後者をナンタブと発する。クスはタブと同じく照葉樹林を構成する樹木の一つで、屡々混生する。クスノキの材は仏像などの彫刻に用いられ、赤い色をしたのが楠、白いのが樟と判別している。

伊豆諸島の海岸の磯の岩に生えているタブの埋れ木をダミといって、彫刻した細工品は土産に売っているし、樹皮からとった染料で染めたのが黄八丈の本場ものである。黄八丈の原染料は種々とあるようである。この埋もれ木の樹皮・葉の粉末を捏ねると粘りが出て、これより線香を造る。

<大和本草>

楠と樟と一類二物なり、国俗のクスノキと言う物ニ品あり。一品は香つよく、木心黒赤樟脳を煎す。是樟なり、一品はイヌグスと云い香少なし木心色赤黒ならず、是楠なり、楠には大木ある由、本草に言えり、今の所楠木多し、他木に楠ほど大なるはなし、楠の根に米泔を注げば必ず枯れる。

<大和本草批正> 

木心黒赤なる歯マグスと言う。楠は本草に葉如牛耳というもの、ユズリハとに当たる、楠には品類多し、イヌグスも亦楠也、常のクスより葉長くして香殊なり、西州木状に云、予樟ヤブグス(薩州)樟の類にして葉カシに似たり、四五月の頃青白花を開き後子を結ぶ、大きさ蓮子の如し、熟して黒し、此子ヨリ蝋を採る。この材船に用ふ。樟木と能く似たり。

<豆州諸島物産図説>

真ダミ八丈島諸島皆有之、別にダミ及草ダミ有り、故に真の字を加えて以って之を分つか、其の樹高大葉形マテバシイににて微短く、面青く背淡し、俚人云二三月花を開き随て子を結ぶと、其の子大さ指頭の如く、正円、生は青く熟すれば黒し、八丈島の俗その樹皮をとり水煎じて紅褐色を染む。其の材緻密にして微し香し、性善く水に湛ふ故に土人船を作るに之を用いる、三宅島の究民其子を搗き末し、蒸餅となし食う、之をサジモチといふ。

<豆州諸島物産図説>

草ダミ八丈土名 諸島山中に生ず、八丈島の俗又呼びて牛ダミと云、東都に所謂タブノキ是なり。

<伊豆海島草木魚鳥図説>

草ダミ夏花咲き実九月熟す。この実絞るに精油多し、忽ち白蝋となる。其食急なるとき麦粉に交て粮とす、常には他国へ出し、穀と交易す。又この木皮を煎じ島人の衣、魚網なんと染めるに赤色となる。尤も益ある木なり。

<熊野物産始志>

オフドウの木樹高大、皮を剥げば天竺桂の如き香あり、葉天竺桂に似て長大縦道なし、初夏枝頭に穂をなし細白花を開き実を結ぶ。緑色アオキの実に似てその茎紅色なり。

<琉球産物志>

斗文木、登按、樹高一二丈許。葉似冬青葉而厚潤、其実与樟実仿仏、其秋之間収子搾蝋、大益民用、一種有紅斗文木 葉大而狭長、有香気如油椒。

<本草正偽>

樟イヌグス又多門グスと言木高大、葉ユズリハに類し、葉若葉鮮紅色の如し、四月砕花を着、小実を結ぶ一名交譲木と云う、故に或は誤て交譲木をユズリハの漢名とす。

<和漢三才図会 15>

タブ・チャン 俗に太布という。

<本草綱目>

赤樟アカタブ、烏樟、釣樟クロタブ

太布タブは、タバノキという木から、即ちカジノキ・シナノキなどの樹皮を叩いて繊維をとり、織った布であり、これからもタブノキへの誘導可能である。不味くいえば、名前は何処からでもこじつけ得るものらしいことを指摘しておこう。朝鮮語ど丸木舟のことをTonbaiというから、タブノキから舟を作った語源であると 中山薫氏の言説である。

タブノキは長生きする樹木であり、わが国の温暖な海岸に近い地方に老木が残っている。

神社や霊地の神木とされ、その樹容は”根が延え、神さびて”家持の標言にぴったりである。どうした訳か判らないが、海岸から5Km以内に生えているのが普通であり、たまに海岸から離れたところにも存在する巨木もあるが、それは海岸線が後退した故と解される。

亜熱帯から温帯の海岸線に、照葉樹林が形成するのであるが、田辺博士の調査(九州大学論文E121(1977))で霧島の照葉樹林は95%がタブノキであると報告している。

【植物】

タブノキ Machilus Thunbergii Steb.et Zucc.

クスノキ科 Lauraceae

(.Japonica S.et Z., . nanshoensis Kanehira, . Kwathotensis Hayata . Laurus indica Thunb.)

タマグス。イヌグス、タブ、カショウダモ、クスノキ、シマグス、シログス、ウラジログス、ヤマグス、ヤブグス、タモングス、クスタブ、マルバタブ、コガタブ、アオタブ、アカタブ、シロタブ、クロタブ、ササタブ、オオバタブ、ベニタブ、ホンタブ、タモ、ダモ、モチダモ、アオガシ、タモノキ、タンノキ、タビ、マダミ、クサダミ、タマノキ、タマグス、アオキ、オウイ、ヤブニッケイ、アカガシ、コガ、ドウネリ、ハネリ、コガ、トノキ、オホノキ、トモン、トモロ、ミヤマモチ、ナボク、ツズノキ、ハナカ、アブラヌスビトノキ、アサダノキ、ダモウジュ

椨、樟、樟木、樟仔木、紅樟、樟、玉樟、陀猛樹

本州 (北限は山形・岩手)、四国、九州、台湾、中華国、比国、海岸地帯に生える常緑樹。高さ30m,3,5mになる高木、樹皮は暗黒かっ色、葉は枝先に集って付き、互生、長さ815cmの長楕円形で先端は少し鋭出、厚い革質で表面は光沢がある。若芽は鮮紅色で美しい。56月枝先に円錐花序を葉の腋につけ花枝片から微帯黄白色、花は両性で小さく、花被片は6個あって、みな同形である。雄蕊は9個あって、外側の2列のものは無腺。子房は無柄である。果実は1~1.3cmの球形ないし楕円形で、基部に花被が反り返って残り、7~8月に黒紫色に熟す。

[補釈]

1. 海に近い山中に生じ、カシ類とともに照葉樹林を作る。

2. 冬芽は大きい点、近縁種と見分けになる。

3. 葉を噛んでいると粘質になる。

4. 花序は始め大きな鱗片に包まれ、無毛、新葉と共に伸びる、花序は円錐形、多数の両性花をつける。

5. オシベは3×4列=12本 特徴がある。

6. 葉・樹皮・木屑から粘液が出る。接着剤、洗剤に用いる。 

{近縁種}

変種

ホソバタブ (アオガシ)

M. t. var.stenphlla Koidz.

花芽、葉柄は赤色を帯びない。

ヒロハイヌグス

var.obata Nakai


近縁種

ヤブニッケイ

Ginnamomum japonica


シロダモ

Neolitsea sericca


【周辺】

クスノキ科 Lauraceae

シナクスノキモドキ属Cryptocarya

シナクスノキモドキ

ニッケイ属 Cinnamonium

クスノキ、ニッケイ、ヤブニッケイ、シベニッケイ、マルバニッケイ

タブノキ属 Machilas

タブノキモガサワラアオグス、アオフジ

アカハダクスノキ属 Beilschmidia

アカバクスノキ

クロモジ属 Lindera

コロモジ、ケコロモジ、カナクキセノキ、アブラチャン、シロモジ、ヤマコブバシ、テカダイウヤク

ゲッケイジュ属 Laurus

ゲッケイジュ

シロダモ属 Neolitsea

シロダモ、イヌガシ、オガサワラシロダモ

ハマビワ属 Litsea

ハマビワ、、バリバリノキ、カゴノキ、アオモジ

クスノキ科Lauraceaeは主に熱帯・温帯に312000種ある。多くは常緑樹で厚手の葉をもち、花は総じて小さい。枝幹には揮発性成分を含み、よい香りがする、また粘液質のサポニン質を含有する。

【名前】

椨、樟、太布

(別名) タブノキ、犬樟、白樟、玉樟、山樟、葉長、浜椿、青木、からだも

(漢名)猪脚樟、紅楠、小楠、

【用途】

用材: 装飾用家具、建築用部材、アオタブは野球のバットに最高である。

染料: 樹皮、葉、皮を粉末から。

線香を作る。材の削り屑から粘液を採り、整髪料にする。

巨木と樹林



樹齢()

樹高(m)

幹周(m)

波崎の大タブ

茨城県鹿島郡波崎町3355

700

15

8.4

滝の人のタブノキ

埼玉県飯能市上真竹下分301

700

20

6.5

占里付のイヌグス

東京都西多摩郡古里村7

不詳

15

8.1

府馬の大クス

千葉県香取郡山田町府馬

ca.1400

20

8.5

台谷戸稲荷のタブ

神奈川県藤沢市大庭1809-10

300

18

6.1

煤ヶ谷のシバの大木

神奈川県愛甲郡清川村煤谷

500

12

9

梅池のタブノキ

静岡県榛原郡本川根町梅池269

300

18

8

高爪神社のタブ

石川県羽咋郡富来町大福寺

Ca 400

12

8

鹿島路のタブ

羽咋郡鹿島路町森宮

650

20

9.5

鎌宮のタブ

鹿西町金丸

不詳

5

4.4

小浜神社の九本ダモ

福井県小浜市城内1丁目

500

18

10.8

観自在寺のタブ

愛媛県南宇和郡御荘村

250

4.5

13

金比羅宮のタブ

西宇和郡川乃石村金刀比羅神社

300

3

20

文殊院の神木

鳥取県岩美郡志保美村

500

7

11

成和時のタブ

京都府宮津市成和寺

不詳

14

5.9

紀三井寺の応同樹

和歌山県和歌山市

500


2

高能神社のタブノキ

佐賀県西松浦郡西有田町大木乙

500

13

6

三珠のタブ

熊本県鹿本郡三珠村

300

6

13

狩場のタブ

鹿児島県川邊大浦町10449

300

25

5.7

仮宿のナゲドン

曾於郡大崎町仮宿上

400

23

7.3

タブ樹林

北限のタブの大島

岩手県山田町

船越大島は無人島で、ここが日本のタブの北限

金浦のタブ林

秋田県金浦町

日本海側のタブの北限。勢至山の東南側に巨木あり

飛島の常緑樹林

山形県酒田市

飛島はウミネコの繁殖地でもある。魚介類も豊富

三輪島のタブ林

山形県遊佐町

県天然記念物に指定。100年以上のタブ密生

館山沖ノ島

千葉県館山町

房総半島の南端の陸繋島。樹林の植生は多様

浜離宮恩賜庭園

東京都中央区

天皇家ゆかりの汐入庭園。40本のタブ。

唐島のタブ林

石川県中島町

七尾湾の唐島神社の社叢。100本のタブ

江ノ島南西部の森

神奈川県藤沢市

龍野ケ岡自然の亜熱帯森林

犬上川のタブ林

滋賀県彦根市

琵琶湖に流れ込む犬上川の河口付近の樹林

大台ヶ原

奈良県吉野町

吉野から尾鷲市に続く山塊一帯、多雨地帯

沖ノ島宗像神社神域

福岡県大島町

女人禁止.一草一木とも持ち出し禁止の神の島。

青島の天然亜熱帯樹林

宮崎県青島市

青島神社の社林。天然記念物